2013年3月9日土曜日

トレッキング初日

予定より早い、朝4時すぎにガイドが部屋の前まで来て僕を起こした。
飛行機の時間を遅く勘違いしていたらしい。
慌てて身支度を済ませて、タクシーで空港へ向かった。

両翼にプロペラをつけた飛行機は、自家用ジェットと聞いて思い浮かべるそれに近く、とても小さく、狭かった。

10数名が乗り込むと、大きなエンジン音とプロペラ音をあげて、飛行機は危なっかしく離陸した。

窓をのぞくと、翼は上にあり、景色がよく見えた。そして空に浮くとすぐに、ヒマラヤ山脈が見えた。

朝日に照らされたヒマラヤ山脈は、昆明からの飛行機でみたときより、ずっと大きく、美しかった。

50分くらい経った頃、気圧の変化に耳が痛んだ。着地点、ルクラが近づいて来たのだ。
飛行機はぐんぐんと高度を下げる。たが、おかしい。辺りはまったく空港らしくない。平気で民家が並んでいる。
このままじゃ町に突っ込む!
と思った瞬間、突然足元に滑走路が表れた。
ルクラの空港は、滑走路が崖っぷちにあるのだ。

一杯甘く温かい紅茶を飲み、僕らは出発した。

雪化粧を纏った、高さ5000〜6000m級の山々。広がる畑の緑。土の匂い。サクナゲの花。チベット文字の彫られた大きな岩。たなびく色とりどりの曼荼羅の旗。ヤクの足音、それと呼応する首輪に吊るされた鈴の音。青白く流れる大きな川の音。

きれいだった。
のどかな春の陽気だった。



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