トレッキングの手続きをツアー会社で済ませて、宿に戻ると、新たな女性客がチェックインをしている所だった。
どこから来たか尋ねると、スペインからだと言う。
スペイン語をしっかり覚えておけばよかったと後悔するも、彼女は英語が堪能だった。
話していると互いに打ち解け、ともにご飯を食べることとなった。
彼女はガイドブックに乗っている行きたいレストランがあるらしい。
実はすごくお腹が空いていた。
機内食しか食べていない不規則な食生活を送っていて、間食もしていなかったからだ。かといってもう暗くなった街をあてもなく歩くのも気が引けていたので、彼女の提案には万々歳だった。
そのレストランはすごくおしゃれで、音楽が流れ雰囲気もよかった。
メニューもとても豊富だったが、せっかくなのでネパールチキンカレーを頼んだ。
食事をしながら、語り合った。
彼女はバルセロナに済む心理学者。
精神的な原因で職につけない人をカウンセリングし、仕事をみつけてあげる仕事をしている。いや、正確にいうと、していた。
彼女は仕事をやめ、家族と離れ、住んでいた部屋も手放し、インドに行った。インドを巡り、この日ネパールに辿り着き、僕と出会った。
人生どこの人とどんな経緯で巡り会うか、わからぬものだ。一期一会。
どこか似ている二人の境遇に乾杯した。
そのあともいろいろなことを話した。
家族のこと、互いの文化のことなど。
二人の旅の先のこととなると、「わからない」と二人で笑った。
けれど、お互いの無事を祈り、再会を誓った。
「スペインに来る時は、案内するわ。」
と言ってくれた。
この先どうするかわからない。それは時として不安を生むが、時にこんなに素敵な行き先を与えてくれる。
「必ず行くよ。」
そう言ってまた乾杯した。
サルート。
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